[本/雑誌]/名前の哲学 (講談社選書メチエ)/村岡晋一/著

＜p＞「名前」ほど、日常にありふれたものでありながら不思議なものもない。自らをあらわす自分の名前さえ、ほとんどの場合、自分ではない他の誰かに付けられたものであり、死後まで自分の存在は、その誰かに付けられた名前によって語られることになる。なにより自分の名前は、自分で使うよりも他者から呼ばれることのほうが圧倒的に多い。最も身近で最も遠い、それが「名前」である。＜br /＞ 　「名前」をめぐる哲学は、西洋の形而上学では真理についての文脈で考えられてきた。初めて「名前」を哲学の対象にしたプラトン、アリストテレスにはじまり、その流れを受け継いだ二〇世紀のミルやフレーゲの名前論をひもとけば、伝統的な西洋哲学がいかに「名前」を厄介者としてきたのかが浮かび上がる。＜br /＞ 　ところが、ヴィトゲンシュタイン、ローゼンツヴァイク、ベンヤミンの三人の思想を解き明かしていくと、真理論の舞台から解き放たれて、名前の哲学はこれまでにない生き生きとした姿を見せはじめる。著名なジャック
・デリダの三部作にかぎらず、先鋭的な名前論はなぜユダヤ系の思想家から生まれるのかーー。その背景には、名前と同化をめぐるユダヤ系の人々の苦難の歴史があった。＜br /＞ 　外側から貼られた単なるレッテルではない、「呼びかける」ものとしての名前がひらく、新たな時代の共同体論。＜/p＞ ＜p＞［本書の内容］＜/p＞ ＜p＞まえがき　名前ーーもっともありふれた不思議なもの＜br /＞ 第1章　名前の哲学史ーー古代ギリシアから二〇世紀まで＜br /＞ 第2章　生活形式ーーヴィトゲンシュタイン＜br /＞ 第3章　対話ーーローゼンツヴァイク＜br /＞ 第4章　純粋言語ーーベンヤミン＜br /＞ 終章　名前の哲学が教えること＜br /＞ 注＜br /＞ 書　誌＜br /＞ あとがき＜/p＞画面が切り替わりますので、しばらくお待ち下さい。

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